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あの戦争から遠く離れて―私につながる歴史をたどる旅
・城戸久枝
【情報センター出版局】
発売日:
2007-08-20
[ 単行本 ]
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格:
1,680 円
(税込)
・
城戸久枝
・
城戸久枝
マーケットプレイス
新品価格:
1,680円〜
カスタマー平均評価:
5
日本と中国の家族を見つめる旅
【あの戦争から遠く離れて】日本と中国の家族を見つめる旅 団塊ジュニアといわれる世代、日本人として日本で育った私にとって、戦争といえば、「第二次世界大戦」「広島・長崎の原爆」のこと。 しかし、社会科の教科書に掲載されていた白黒の写真や、アニメ映画「ほたるの墓」から得たイメージしかない。 その時代を生きた祖父母から話を聞いても、どこか遠い昔話を聞いているような気がしていた。 戦争について書かれた本はたくさんあるが、手に取る前に、悲惨さ、暗さ、重さを感じ取ってしまって、積極的に「読もう」という意欲が沸くものではなかった。 大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した「あの戦争から遠く離れて」についても、最初は、そうした「戦争もの」という先入観をもっていた。 しかし、読み始めると、ページをめくる手が止まらなくなった。 この本の軸にあるのは「家族」だからだ。 この本は、著者の城戸久枝さんが、中国残留孤児である父親・城戸幹さんの半生をたどったルポである。 父親の過去についてだけではなく、久枝さん自身が2年間の中国留学生活で体験したこと、幹さんを育てた養母やその親族との交流から感じたことも綴っている。 久枝さんが1976年生まれだと知り、また、本書に目を通す中で、私自身と同じ世代だという意識が強くなった。そのため、幹さんを私自身の父親と重ねて想像することも多かった。 幹さんの中国と日本の家族に対する思いや、久枝さんの父に対する思いを感じて、胸が熱くなった。 本書では、戦争や戦後の中国で残留孤児が体験した苦労についても触れているが、戦争の悲惨さよりも、人と人のつながりの価値や、人の「縁」が人生に大きな影響を与えるものであるということを感じる。 幹さんの娘である久枝さんだからこそ、中国に対して一定の距離感を保ちつつ、しかし、一方で、「他人事ではない」という親近感も持ちながら、あの戦争から現在につながる1人の孤児の半生を記述できたのではないだろうか。 この本を書くことは、父親の半生を掘り起こして記録することであるとともに、久枝さんにとっては自身のルーツをたどる取り組みだったのだろう。 「あの戦争」は、遠い過去のものになりつつある。しかし、それは決してなくなるものではなく、あの戦争があった時代を生き抜いた人がいたからこそ、今の自分があるのだということを再認識させられる。
綿密な取材に基づくノンフィクション 若い著者の情熱に敬意
中国残留孤児の父親の足跡をたどった娘により書かれたノンフィクション。 帰国するまでの父上の苦労と努力、そして人間関係を、綿密な取材に基づいて書いている。 戦争を知らない若い著者が、これだけの大作を書き上げるのに注がれた情熱に敬意を表したい。 著者は父親の影響もあって中国に留学する。 友人も出来るが、普段仲良く話をしていても、過去の日本との戦争の話になると、一度火がついたらとまらない攻撃的な中国人に苦しめられる。 日本と中国との間で、父が感じたであろう複雑な心境のほんの一部であるが、自ら感じることになってしまう。 戦後60年以上経ってもなお、これほど溝が深いかと、読んでいる私も深く考えさせられる。 一方で父の養母の家族達との交流など、心温まるエピソードも多い。 国家と国家、日本人と中国人という考え方ではなく、人と人として交流を進め、お互いを理解し、いかに心の垣根を取り払うかが大切な気がする。 近年残留孤児の話題がニュースになることも少なくなった。 だが、同じような残留孤児の苦難のエピソードは、孤児の数だけあると考えなければならない。もちろん戦争の犠牲者は残留孤児だけにとどまらない。沖縄、広島、長崎、東京・・・。活字にならないだけで、それぞれの戦争経験者の数だけ苦難のエピソードがあるのだろう。 平和について、今一度考えるきっかけとなる1冊。
戦争を語り継ぐ新世代の筆力・執念に敬服
世の中にはこれによく似た経験をした人がもっともっといるはずですが、この本の著者のように執拗に追究して、理路整然と書き残すことはなかなかできないと思います。 残留孤児になって、助けてもらった一部始終を子どもの立場で突き止めようとしたところに心惹かれます。残留孤児自身が自己体験をしるしたのではなく、親の体験をこのように自分のこととして書き残そうとした熱意、そのひたすらさに感動するのです。時代が子や孫の代になって、戦争の痛手が薄れようとする平成20年代になっている現在、本書のような誠実な作家が誕生したことは何にもまして心強いことです。
孫玉福の壮絶な中国での体験に感動!!
実際に在った話だけに、又その娘さんが書いただけに状況が手に取るようにわかり、加えてNHKのドラマ「遥かなる絆」で忠実に再現されたので、孫玉福としての城戸幹さんの中国での苦労に満ちた生活に、ただただ感動!!でした。
「あの戦争から遠く離れて」を読んで
この本を読んで改めて感じたのは、絆は努力しなければ生まれないし、強固にもならないということだ。その努力も余裕をもった助け合いの中からではなく犠牲を払ってでも仲間を助けるという努力がないと強い絆は生まれない。養父母が日本人の子供を引き取るということはロシア人からも反日意識の強い中国人からもいつ攻撃され、拘束されるかもしれないという危険が絶えずあり、終戦直後や文化大革命時には特に厳しかった。それにも拘わらず養父母や友人達は城戸幹を助け、また教師や村政府の書記も優れた能力を惜しんで中国人と偽ってでも生きるよう助言してくれた。そこに彼らの道徳、倫理観と国家間と個人の関係が複雑にからむ理屈では説明できない人間ドラマといいたくなるような城戸幹の歴史に強い感慨を覚えた。
大空のサムライ〈上〉死闘の果てに悔いなし (講談社プラスアルファ文庫)
・坂井 三郎
【講談社】
発売日:
2001-04
[ 文庫 ]
参考価格: 924 円(税込)
販売価格:
924 円
(税込)
・
坂井 三郎
・
坂井 三郎
マーケットプレイス
新品価格:
924円〜
カスタマー平均評価:
5
読みやすい
とにかく読みやすい本で、手を出したが最後、睡眠不足を覚悟されたし。 しかしよくもまあ何度も危ない目に遭った人だと思ったが、当時の坂井氏の元気いっぱいの笑顔を見ると、なるほど前向きな性格だからこそ最後まで生き残ったのだなと合点した。私はその対極の、典型的な内向的性格で悲観主義者であるため、おそらく戦争開始直後に味方の流れ弾か何かに当たって、というような展開に見舞われたような気がする(笑)。 下巻を注文したが、3週間ほど経ってまだ届かない。よほどの人気商品なのだろう。前向きに増刷を待とうと思う。
今まで読まなかった後悔
評判は聞いていたが、自慢話を読もうとは思わなかったので手にする事がなかったが、今は何故もっと早く読まなかったのかと後悔している。 自分の与えられた仕事にたいする責任感と努力すべき姿勢、訓練の方法や指導の要領から、その結果までがここに解説されている。 これは戦記ではない。
後世に伝えなければいけない偉大なる手記
数多く存在した撃墜王の中でも、激戦を勝ち抜き終戦を迎え、自身の戦争体験をありのままに赤裸々に綴った坂井氏の手記は、世界中で愛読されている他に類を見ないほどの貴重な戦争記録だと思います。 先の大戦に関しては賛否両論、沢山の異なる意見があると思います。 ですが、実際に祖国日本を守る為、たった一つしかない命を投げ打ってこの国を守ろうとした人達の本音や心の葛藤を知ることにより、平和な時代を生きている私達にできる事がおのずと見えてくるような気がします。 坂井氏は「生き残ってしまった自分の使命」、「散って行った戦友の代わりに俺が書き残す」と自らの使命感により本書を著したとあります。 形式や方法は異なれど、あの大戦について私達も次の世代にしっかりと語り継いでいかなければならない気がします。 そして、人生の困難に道を憚れて前に進めない時や、情熱を失いかけた時、再び本書を手に取る事によって、諦めずに生きる勇気が湧いてくる、そういう力を持った一冊です。
samurai
この本は戦記というジャンルを飛び越えてもまさに「名作」だと思う。ただ単に戦闘機の性能や空戦の体験だけではなく、戦友との悪ふざけやら思い出、そして坂井氏自身の精神などもこと細やかに書かれているのでより臨場感があふれている。戦記はちょっと・・・という人にも是非読んでもらいたい。戦争の大局での勝敗に関係なくひとりひとりの兵士がいかに命がけで戦ったかがよくわかるはずだ。 ご存知かもしれないが、これは世界各地で出版されているそうだ。戦後連合国だった国の人はこの本を読んで、日本人は非情だという戦時中のイメージが無くなったとか。
読む人を勇気づける偉大なるサムライの回顧録
坂井三郎氏、サムライ。この偉大な軍人の書いた本に救われました。 たまたま、仕事で行き詰まり精神的にかなり辛いときに手にしました。 戦時中とは違い、会社での命のやりとりではない場面ですが、 現代には現代の、その人にはその人なりの悩みや葛藤があると思います。 そんなときに読んだので、115ページの文章に目が吸い込まれました。 「まず事故(ピンチ)に直面したとき、第一になにをなすべきか。 それは何をさておいても、落ち着くことである。<しまった、しまった>と、 過去を恨み、自分の不運を嘆き、心を乱す考えを起こすことは、 この時点においては、マイナス以外のなにものでもない。 まず落ち着いて処置方法を考え、もっとも良いと思った方法を、 迷わず断行することである。」 これは、坂井三郎氏(サムライ)が念願の単独飛行につく際に 教官にピンチに見舞われた際の心構えとして教え込まれたことです。 サムライは、深呼吸を3回することで、気を落ち着けたそうです。 生理学的にみても、深呼吸は硬直した筋肉、収縮した血管に有効。 私も本当にタイムリーにこの本を読んでいて良かったと思いました。 サムライの置かれた境遇とは比べようもありませんが、 この本に勇気づけられ、自分なりに苦しいと思うことにも立ち向かう 勇気をいただきました。
大空のサムライ〈下〉還らざる零戦隊 (講談社プラスアルファ文庫)
・坂井 三郎
【講談社】
発売日:
2001-04
[ 文庫 ]
参考価格: 924 円(税込)
販売価格:
924 円
(税込)
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坂井 三郎
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坂井 三郎
マーケットプレイス
新品価格:
924円〜
カスタマー平均評価:
5
あっという間に読みきってしまった
上下巻、ともに気がついたらあっという間に読み終えていた。 臨場感が尋常ではなく、他のレビュアの方々が述べられている通り、まるで自分が零戦に乗って、坂井氏と共に飛んでいるような錯覚に陥る。飛行中に風防を開けた時の風まで感じられるほどである。 私は航空整備を職業としているが(残念ながら外航なのでレベルの低さは否めない)、零戦は現代の最新鋭機にも構造的に共通する部分があり、当時の我が国の航空機設計・製造の水準の高さは驚くばかりである。なるほど、アメリカは戦後、我が国の航空機製造を禁止したわけだ。まともにやりあっては敵わないとわかっていたのであろう。 坂井氏は目に致命傷を負った際「何故俺はこんなにも運が悪いのだ」と嘆いたが、我々現代人、いや当時の人々から見てもまったく天晴れ、こんなにも充実した人生を歩める人はそうそう多くはないと思う。 初めは天性の才能を持った操縦士かと思っていたが、努力の塊のような人だった。一方、坂井氏までもが特攻に駆り出されていたとは。当時も今も、我が国の権力者は人の命をなんだと思っているのか。結局特攻で散華した若者に借りを返すべく自決した指導者はたかだか数十人程度だったと聞く。卑怯者が生き残る社会はいい加減に終焉してもらいたい。 1/32の零戦の模型を4機買った(21型、52型の2機ずつ)。坂井氏や当時の精鋭を偲びつつ大事に作ろうと思う。 笹井中尉のような戦友を持った坂井三郎、貴様は幸せ者だ!私にはそんな熱い友人はいないし、これからも現れないだろう。今一度両氏には生き返っていただき、現在の我が国の堕落ぶりに強烈な喝を入れてもらいたい。 祖国を守ってくれて、ありがとう。貴方がたにはいくら感謝しても足りません。
必ず読むべき一冊
戦記や自慢話を読もうと手にしなかった事に後悔している。 これは戦記ではない。 与えられた仕事に対しての心構えや何をすべきか? 訓練の方法や指導の要領から、緊急時の対処法、その結果までがここに解説されている。
後世に伝えなければいけない偉大なる手記・続編
「大空のサムライ」完結編。 ガダルカナル上空での負傷後の奇跡のラバウル基地生還や、硫黄島攻防戦、内地での教官体験など、徐々に前線を離れて行く坂井氏の心の移り変わりがありのままに綴られています。 本文結末は意外な形で迎えますが、何度読み返しても心に訴えかける不思議な力を持ち合わせた貴重な手記だと改めて感じました。 激戦を勝ち抜き、あらゆる修羅場を潜り抜けて終戦を迎え、戦後の日本復興を見届け、天命を全うされた坂井氏からの、可能性に挑戦し征服する極意が収められている「戦話・大空のサムライ」もお薦めです。 こちらは坂井氏自らの体験から得た、勝負の要諦、成功の秘訣が語られており、原作「大空のサムライ」を補足する意味でも大変興味深いお話が沢山掲載されております。 強く生きていく為に、己の精神力、知力、体力を、その極限まで鍛えに鍛え、努力を傾けて修練、研鑽を積み重ねていく事の大切さが語られており、行き詰まりを感じている方や、情熱を取り戻したい方にお薦めです。
サムライの言葉に勇気づけられました
392ページ あとがきに代えて、を読み丁度悩んでいた今の私を勇気づけてくれました。 「戦いの常として、こちらが辛い場合には向こうも辛い。 辛い、辛いと思っているときには戦闘は互角である。 むしろこちらが勝っている場合が多い。その辛い最後の一瞬を、 必ず勝てるという信念で頑張り抜いた人が、空中戦においても敵に勝つ人 であって、その苦しい最後のときにヘタばった人が、必ず落とされる運命にある。」 これは、サムライが空戦に学んだ自己制御として、 巴戦で敵戦闘機と一騎打ちをする際に、最後に頼れるのは 自分自身のみであることを振り返っているくだりです。 もはや精神論以外の何物でもなく、今時・・・なのかもしれませんが、 私はそうは思いませんでした。これは自分を信じること、頑張り抜くこと、 その先に道が開けることの真理だと思います。 辛いときこそ、冷静になるべきだとは、いろいろな悩みを抱える現代の社会人 にも、きっと勇気や救いの一言となると思います。 戦争を美化することでもなく、むしろその虚しさをサムライは伝えています。 戦記というよりは、もっと深い心構えを教えてくれる本です。
朝飯は一緒に食えても晩飯は食えない。
常に戦争をしてる日々が続くとこうなってしまう。この本を読むと朝はいた奴が夜はいない。一体こんなことが日常茶飯事になったら今の我々はどうやって向かい合って生きていけば良いのだろう。しかし今となっては遠い昔、こうやって戦い続けた日本人がいた。ごく1部の誤った指導者のお陰で。終戦を知った坂井が「死んだ仲間が一番可哀想だ。」。 今、彼は笹井中尉の元に仲間達の元に還った。「虎は千里を行って千里を還る。」
大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)
・堀 栄三
【文藝春秋】
発売日:
1996-05
[ 文庫 ]
参考価格: 620 円(税込)
販売価格:
620 円
(税込)
・
堀 栄三
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堀 栄三
マーケットプレイス
新品価格:
620円〜
カスタマー平均評価:
5
情報に対する考え方を変えた本
もう10年以上前に本書を読み、公開されている情報から論理的に考察することで確度の高い推測が成り立つことを知り、以後情報に関する考え方を変え、生かしてきました。 今回、別な本で本書が紹介されていたため、再読しました。 やはり貧弱な日本軍の情報量の中から、その真偽を見破り、米軍の攻撃を予測したり、自軍の成果を疑ったりと「お見事」の一言に尽きます。しかもその推測の論理性は米軍すら納得させるものだったのですから。 が、以前本書を読んだときに比べて、現在の世の中は情報量が膨大になりすぎて、ビジネスの世界での応用には向かなくなっているかもしれません。再読しながら、その落差を感じていました。
10倍の価値:これは読むべし
文庫であるが故、600円にも満たない本である。が、その内容は10倍を超える価値があると思う。つまり、一級の戦史モノであること(服部 卓四郎 (著)「大東亜戦争全史」の誤りも正している!)、情報マンとしての心構えが満載であること(戦後何十年経っても尚、米軍から、どのようにして当時あれほど見事な情報解析が出来たのか質問が来るほどの情報マン)、自衛隊設立初期の様子にも触れながら現在の自衛隊に対する強いメッセージも盛り込まれていること(「仕事の内容も陸海空がそれぞれ自分本位の立場からの狭い視野で情報を捉える旧軍時代と一向に変わっていない....日本の防衛方針が専守防衛ということであるなら、情報を惜いて最重要なものはないはず」と断言)、それぞれで類書では一冊になっているからだ。 読了後、このような日本人がいたことを誇りと思った。 もちろん評価は5つ星を遥かに超える!
情報とはインテリジェンス
読んでいて感じたのはインフォメーションをインテリジェンスに加工する工程が大本営によってつぶされてしまったという点だろうか... 有能な人材が宝の持ち腐れという扱いを受けるというのは現在の会社でも多々あるかとは思われるがトップダウンおよびボトムアップのアプローチいずれにおいても、やはり情報の適切な加工は組織を有効に機能させるためには必須であろう。 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)とともに読むことで理解も深まってくるのではないかと思われた。 しかし、この目まぐるしい環境の変化においてもスキルを向上させようと、最後まで腐らずに任務をこなした堀氏の姿勢は素晴らしく、私は少し自分を改めなくてはいけないと感じた。
情報と意思決定・組織運営
この本を読むと、大東亜戦争の頃の日本軍が、如何に 情報そしてコミュニケーションの基本を欠いていたかが分かる。 ここに書かれた、<結論先にありき><上司の意見優先><茶坊主の跳梁跋扈>など、大本営で起きた行動は、現在の我々の企業生活においても普段から起こり得る(または既に起こっている)ことばかりなのではないか? 単に歴史の生き証人が語る過去の事柄の列挙というにとどまらず、歴史を見る目が養われるとともに、現在の我々の生き方をも問うような、鋭い問題提起の書といえるだろう。
この本で面白かったところ
本書のレビューはもう出尽くしているので、個人的に面白かったと思う点を・・・ 1.同じ大本営で課によってこんなに仕事の方法が違ったのかと驚いたこと 2.米軍の上陸作戦の時期を推定するのに、株価を読んでいたこと 3.西ドイツに赴任する著者への大島元大使(戦前)の助言の内容 4.戦後西ドイツでの著者の諜報活動ぶり、ことにワイナリーの話 5.小国こそ・・・という事実 そういえば、真珠湾攻撃を兎にも角にも真っ先に嗅ぎつけたのも、 列強各国ではなかったな・・・
ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論
・小林 よしのり
【小学館】
発売日:
2008-06-23
[ 単行本 ]
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格:
1,680 円
(税込)
・
小林 よしのり
・
小林 よしのり
マーケットプレイス
新品価格:
1,680円〜
カスタマー平均評価:
4.5
自分で”読んで”考えようというメッセージ
東京裁判が裁判の体を為しておらず、単なる復讐の場であったことを主張したパール判事を、間違いと偽証だらけで中傷した学者への反論する形で本書は構成されている。 当然、筆者の小林よしのりの思いがたっぷり詰まっており、漫画独特の比喩表現が確信犯的に皮肉度合いを増している。 徹底抗戦の体裁だが、パール判事擁護だけが主題ではなく、 「議論するなら史料や資料を自分で読んで理解してからしろ」 という、最も基本的なことができていない所謂知識人への批判でもある。 そのために絶版となった「平和の宣言」を復刊させる努力までしているのである。 本書だけでとどまるのではなく「平和の宣言」も読んでみようと思う。
本当は☆5。
そもそも論点がずれている。 批判する人は要は「日本に罪があった」と言いたいだけ。 それに関しては、作中でP144辺りで触れている。 そして、「無罪と言ったパールでさえ罪を認めている」と言いたいのだ。 しかし、この本を支持する人が言いたいのはそんな浅はかなことではない。 「日本だけが正義で罪はない」と言いたいのではない。 所謂戦争犯罪も含めて無罪としたのはなぜか。 あのような勝者裁判で無罪を訴えたことを評価しているのだ。 思想ではなく、法につかえるものとして無罪を言い渡したことに。 例えるならば、魔女裁判だ。 本当は魔女なんていないのに、魔女を見つけ出す。密告するもの、陥れるものが今回槍玉に挙げられているものたち。 そこに「魔女なんていない」と言ったのがパールだ。 そもそもの論点に気付かぬまま、パールを絶対視し、パッチーワークと曲解で「ほら、パールもこんなこと言ってるよ」と自慢げに話すものたち。 まあ、しっかりと読んでいけば、どちらが論理的かはわかるだろう。 偉そうに批判するなら、まずは読め。そして理解しろ。 そしてこの言葉を送ろう。君たちがよく言う言葉だ。 「(今まで学校や新聞でおしえられたことに)洗脳されないで、また(世に溢れるそれら同等の論を)鵜呑みにしないで、自分の頭で考えよ」 ちなみに、本著で槍玉に上がった中島氏はブログにてコテンパンに反論されている。それ以降、逃げているようだが、それを読んだだけでもどちらが論理的でフェアかわかるだろう。
参考程度に
文章も上手いし、 作者の主張も分かりやすい。 ただ、内容は信用ならん。 事実的に不可解な点も多く載せており、感情的に説明しすぎている。 色んな本を読んできたが、いかにも真実そうなものこそ、疑って読んだ方がいい。 この本はあくまで参考程度にするべき。
杜撰なパール専門家
小林よしのり氏のパール理解は右翼のご都合主義で凝り固まっている。 ・道義の問題を自らの良心だけで裁けるというのは 唯我独尊的で排他的態度で、右翼の態度、心性。 ・罪の概念を法的にのみ限定して宗教的な(SIN)をなぜか無視する。 ・パールのテキストを説明はするが現在と未来の展望と解釈は一切なし。 ・裁判官が法的存在でありその任務に対してはあくまで法律論内でしか 扱うべきではないという思想と法の分断主義の見方。 ・パールの世界連邦思想の児戯に悖る空想を、当時は仕方がないで片付ける。 ・当時は当たり前だった「侵略」(武力による先制攻撃)を日本だけは自衛と して侵略したことを悪いこととみる。 なぜこういうことが起こるか>それははじめに「パールは恩人である」 から都合よく合理的に導いて論拠を組み立てるからである。 非常にファナティックな自己中心的解釈で今後知識人や良識ある大人は 誰もまともに相手しないだろうと思われる。 私の書評が気に入らないなら数多くある5星のを見てみればよい。 そこにはほとんど 小林氏の主張だけがそのまま丸写しで載っているだけで、 要するに、漫画の刺激に痺れている思想的盲目信者が、 氏の態度を真似て過剰な表現欲で意味の無いことを書き散らかしてる だけである、嗚呼。
ちゃんと読む、ただそれだけのこと。
最近の人はまともに史料は愚か、文章を読むことが出来てないようですね。 批判の矛先となっている中島の本「パール判事」は特に、杜撰極まりないものである。 東京裁判の最大の争点は「共同謀議の有無」である。 おっぱっぴーみたくあしらわれている毛むくじゃらの左運動家と中島が「そんなの関係ねえ!」と叫んでいるところが、一番重要な箇所です。
決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)
・半藤 一利
【文藝春秋】
発売日:
2006-07
[ 文庫 ]
参考価格: 620 円(税込)
販売価格:
620 円
(税込)
・
半藤 一利
・
半藤 一利
マーケットプレイス
新品価格:
620円〜
カスタマー平均評価:
5
太平洋戦争当時の日本人の精神面からの理解
昭和史については学校でも詳しく教えないので、ただなんとなく太平洋戦争を一部軍国主義者や支配層が起こしたもの、あるいは石油が禁輸されたのでやむなく南方資源の確保に動いたもの、等々、の理解をしている場合が多いのではないかと推察する。だがそれだけでは、勝つ可能性はほとんどないと判っていた戦争をなぜ決断したのか、あるいはなぜあれほど激しく徹底抗戦が主張されまた実行されたのかを説明することはできないと思っていた。本書を読んで、多くの現代の日本人には容易には理解し難い当時の実情の一端を垣間見ることにより、なぜ戦ったのか、どのようにして戦いをやめたのかを当時の日本人の精神的な面から察することができると思う。また、終戦の間際、各人それぞれの日本とは、日本人とは何であるかについての思いの違いにより正反対の行動をとりながらも、物質的な意味とは違った意味において日本を守ろうと努力したという点では同じであったことは理解できる。そこには、良くも悪くも現代日本人の利己的、拝金主義的傾向と対極をなす思想や精神が感じられるが、現代のバランス感覚からすると当時は精神偏重の時代だったのかもしれない。
日本人は「敗北」をいかにして受け止めたか
歴史上、日本が「敗北」を自分から認めたのがこの8月15日の玉音放送である。 そして、この敗北という状況認識に至る閣議の過程、認めずに狂奔する青年将校の8月14日深夜から8月15日早朝にかけての玉音放送録音テープ争奪戦を中心に物語りは進む。 この意義深い本を読んで再認識させられたのは、終戦に向けての意思決定においては昭和天皇自身が揺ぎ無い決意をもって臨んでいたことである。 そして、そのために曖昧であるはずの国体の護持に関し、自信がある旨を天皇自身が閣僚の前で約束していることである。 今になって振り返れば、当時では約束などできるはずもない国体の護持を天皇の権威をもって信じ込ませたからこそ、陸軍・海軍の大臣をも納得させたわけであって、昭和天皇の終戦に向けての強い意志を再認識させられた。 終戦後、昭和64年にいたるまで昭和天皇は長きにわたってその職務を務め上げられたが、これは8月15日と相前後して割腹自殺を図ったり、拳銃自殺を図った軍人たちよりも戦争で死んでいった者たち、苦渋の思いの中であえて敗戦を受け入れた者たちにたいしなんとしても「国体を護持」するという責任の取り方であったのだろう。 半藤氏の文章はこなれていて、読みやすく、一気に読めました。
国体保持の解釈の違いがキ-ワ-ド
読後、しばらくは本を閉じることが出来なかった。 終戦に向かう日本のほんの1日の中でこんなドラマがあったとは。 一部の狂信的な陸軍将校の起こした事件と知らされていた、ク?デタ?未遂ではあるが この書を通じて、彼らの純真な国体保持への思いが、感動を呼びます。 戦後60年を過ぎた今になっては、時代錯誤な考えと笑われるよな彼らの愛国心ではあるが、 終戦派と陸軍における国体保持の着地点の違いに初めて触れ、 この日の偶然の数々によって、無事迎えることが出来る終戦の重みを改めて感じた。 この一日の流れには明治維新と同レベルの歴史の流れが集約されており、 価値観や、習慣の大きな変貌があったことでしょう。 今となっては、純真すぎる陸軍将校たちや、阿南陸軍大臣に心よりの冥福を祈りたい気持ちでいっぱいである。
日本には、こういう時があった
1945年8月、日本帝国はすべての戦線で敗退し、連合国からは無条件降伏を要求するポツダム宣言を突きつけられていたが、軍部は、なおも本土決戦を唱えていた。こうしたなか、8月6日には、広島に原子爆弾が投下され、8月9日には、ソ連は宣戦を布告し満州に侵攻した。本書は、記録にもとずく、8月12日から8月15日の玉音放送までのいきさつを列挙した、ノンフィクション。玉音放送にいたるまでにも、数々のドラマがあった。 昭和を代表する良質のノンフィクションの一冊だと思う。
私たちはこの教訓を生かせるのだろうか?
歴史のテキストかなにかで、 昭和天皇玉音盤の奪取計画があったことを知ってはいたが、 これほど詳しく書かれたものを目にしたのは始めてであった 空襲で焼け野原の東京で、 これだけのドラマがあったことに驚くと同時に、 それを調べつくした筆者の取材力にも舌を巻く。 しかし終戦だというのに、 国の指導者たちが面子と手続きにこだわり、 茶番に近い駆け引きを続けるさまは 喜劇であると同時に、大いなる悲劇でもある。 あれから60年以上が経つというのに 私たちは非常事態に際して この教訓を生かせるのだろうかと 読後、少し背筋が寒くなる。
ノモンハンの夏 (文春文庫)
・半藤 一利
【文藝春秋】
発売日:
2001-06
[ 文庫 ]
参考価格: 660 円(税込)
販売価格:
660 円
(税込)
・
半藤 一利
・
半藤 一利
マーケットプレイス
新品価格:
660円〜
カスタマー平均評価:
4.5
読むべき本
太平洋戦争を評して、よく「アメリカの物量に負けた。国力が違った。」といわれる。しかし、「なぜその国力の違う相手と開戦したか」という点が最大の問題であり、さらに「物量もさることながら、あまりにも杜撰な作戦計画が多すぎるのではないか」、「戦争指導者は人命を軽んじており、兵は無駄に死んでいったのではないか」、「戦争指導者は作戦が失敗しても信賞必罰となっていなかった」など、あまりにもひどいことが多いように思う。 そして、1939年にソ連との間で起こった「ノモンハン事件」は、その原点であり縮図でもある。 著者は、この事件を単に局地的な事件として記述するのではなく、日本の置かれた国際情勢(三国同盟交渉など)、ヒトラーのナチスドイツやスターリンのソビエト連邦など世界的な視点を交えつつ、この事件を重層的に描いている。太平洋戦争に至る時代の歴史を知る上でとても有益な本といえる。 さらに、上記のような傾向は、現代の日本の組織においても根絶されたとは言えないと思われ、それを再認識する意味でも有意義な本であり、必読の書といえる。
今こそ読まれるべき作品
内容は他のレビューに詳しいので、読書歴の一部として書いておくだけにするが、読後に来るのは圧倒的な怒りと、どうしようもない虚無感である。日本陸軍の馬鹿さ加減に対する怒りと、でも世の中の仕組みってこうだよね、別に何も変わってないやね、という空しさ。抑えた文章がそれを際立たせる。 ところで「ノモンハン」と聞いて何の話かわかるのって、どの世代までだろう。私は三十代で読んで、今、四十だが、他のレビュアーも何となく近い世代かなーと感じる。できたらもうちょっと若い世代にも読んでほしい作品である。「知らない」ということほど怖いことはない。
平成のニッポン国民の知性も心配に・・・
この本は資料としても文学としても読み応え十分です。 私が当作品を読んで一番衝撃だったのは、 ノモンハン事件当時、日本国民の世論が、 完全に親ナチス・反英米だった事でした。 三国同盟を締結せんと画策していた帝国陸軍が マスコミを使って世論を誘導したかもしれませんし 外国の情報機関の工作員の仕事かもしれません。 しかし、"絶対悪"ヒットラーと手を組むことは 日本国民の民意でもあった事は事実です。 この本を読んで帝国陸軍の組織腐敗を嘆いたり 高級参謀の無能ぶりを嘲笑ったりするのは簡単ですが 過ちから学ぶ必要があるのは軍人だけではなく 現在の日本を生きる私たち国民一人一人もそうです。 今も昔も、世論や民意がマスコミによって作られています。 日本国を再び過ちを犯す国にしたくなければ、 我々国民がもっと賢くなるしか他に道はないわけです。 この本は平和を願う日本国民必読の書です。
安全な場所にいる人間が唱える現場主義とは
この本は、ノモンハンにおける戦いについてのミクロな話ではなく、国際政治の文脈の中に位置づけた上での ノモンハンの話、もしくは、ノモンハンという地点に最終的に結実された日本および諸外国の政治的・軍事的 意思決定のプロセスについて語った本、もしくは、日本陸軍幹部、および政治的指導者がいかにダメダメだっ たかということを語った本である。 ノモンハンの戦いの詳細を知りたいのであれば、アルヴィン・D. クックスの「ノモンハン(全四巻)」がよいかと。残 念なことに冷戦前に書かれているのでソ連側の資料、とりわけソ連崩壊後に発掘された資料を参照すること ができなかったけども。また、ソ連崩壊後に発掘されたソ連側の資料をもとに書かれた「ノモンハン事件の真 相と戦果」という本もあるので参照されたい。
ジューコフファンは必読
満蒙国境紛争が日ソ戦に発展したノモンハン事変ネタだが、 ヒトラーやスターリンのエピソードも多く紹介されている博覧強記の書。 ノンフィクションだが、小説並みに人物の内面の心理描写もされてます。 なんで、そんなことまで判るの? と疑問に感じる箇所もあるが、まあ、若気の至りとして許してあげましょう。 ヒトラーとスターリンの801小説としても読めます(読むなよw) で、世界一の悪で阿呆な大日本帝国軍ネタは、 最悪の軍人は辻政信であったと理解出来ます。 他の作品はけっこう筆を押さえて冷静に書いているが、 これは、絶対悪辻政信に対しての怒りが迸ってます。 ソ連軍ファンにはジューコフ将軍の大活躍に胸が躍るであろう。 ノモンハン事変でジューコフは日本軍に32%もの死傷率を与えた。 日本軍の主力の第23師団に対しては76%もの見事な包囲殲滅戦を完遂した。 太平洋戦争でもっとも悲惨とされるガダルカナルの戦いでも34%である。 包囲殲滅戦の教科書とされるジューコフの見事な戦いに酔いしれろ! やりきれないのは、名将ジューコフの包囲から脱出したわずかな日本兵は、 敵前逃亡の罪でほとんどが死刑にされているのだよね。 法廷も開かれずに病院で暗殺された下士官もいた。 日本人の敵は大日本帝国軍の高級将校であったことがよく判る良書である。
十七歳の硫黄島 (文春新書)
・秋草 鶴次
【文藝春秋】
発売日:
2006-12
[ 新書 ]
参考価格: 840 円(税込)
販売価格:
840 円
(税込)
・
秋草 鶴次
・
秋草 鶴次
マーケットプレイス
新品価格:
840円〜
カスタマー平均評価:
5
真実の語る力
この方のことは、少し前に報道されたNHK特集で始めて知りました。 本の中でも書かれていますが、御自身で体験されたことを書き溜めていた著者は、「親が悲しむから、、、」とその記録を最近まで封印されていたそうです。 様々な文学や映画などで戦争体験がつづられていますが、そういった戦争体験モノとの決定的な差があるように感じました。 ありがちな、社会や体制もしくはその当時の個人に対する恨み、つらみ、怒りといった感情はほとんど、あっても極々控えめにしか描かれていなのです。 あるのは何が何でも生き延びるのだという強い意志だけです。 記された世界は想像を絶する世界ですが、著者が伝えようとしている戦場の真実の姿を、硫黄島で無くなった我々の祖先達のためにも我々は知らねばならないと思います。
筆者の肉声に心打たれる
秋草さんはNHK特集「硫黄島玉砕戦」で生還者4人の1人として出演し証言された方です。リアルタイムで放送見て「もっとこの方の話が聞きたい」と感じてた矢先に待望の一冊が出た。 硫黄島での生還者陸海軍合わせて約900人、これまでも手記は出版されてますが、現在まとまって読めるものが少ないのでこれは体験貴重と言えます。秋草さん自身、戦後50年以上、どうしてもあの体験を残しておかなくては、それが仲間達の供養になると考え、ずっと推敲を重ねて、初めて戦後60年以上たって世に出ることになった貴重な手記です。 読んでみると海軍を志した17歳の秋草少年の戦場での思いがストレートに伝わってきて、かえって素人臭いその文体がリアリティを醸し出してます。どういう想いで少年達が戦場に向かっていったのか。 参謀や高級将校の書いた手記の場合ややもすると自己弁護がみられたり、時間が経って美化される話も多いですが、海軍の兵だった方の手記であるが故に非常にストレートで兵士達の目線で戦場の様子がすごく伝わってくる希にみる好著なのではないだろうか。 こういう本を当時の秋草少年と同じ位の現代の高校生に読んでもらえらたらと思いますね。
最前線で戦争の苦しみを生き延びた人の使命
映画「硫黄島からの手紙」公開に前後して、硫黄島での戦闘を指揮した栗林中将に関連する本が数多く出版されました。その一冊「散るぞ悲しき」を読んで、勝利でなく、ただ出来る限りの持久戦を戦って米軍をこの島に引き止めておこうとした指揮官の苦悩と戦いを私は知りました。そしてもう一冊が、この本。同じ場所、同じ戦いを、当時17歳の少年兵だった秋草鶴次氏がつづったものです。秋草氏は通信兵として硫黄島に配属され、想像を絶する戦いを奇跡的に生き延びて、捕虜として米軍に収容されました。戦後、日本に戻ってきてから、その体験を書き留めたメモをもとに書き記されたのが、本書です。全軍を指揮した立場の人とはまったく違った、一兵卒が体験した硫黄島の戦いが、淡々と、だが克明に記録されています。 「神は男と女を、紙の姿に似せて造られた」と旧約聖書の創世記1;27節に記されています。このところで使われる「男」の言葉のヘブル語には「追憶する人」という意味がある、とラリー・クラブ著『アダムの沈黙』に書かれています。男とは自分自身の、そして家族の、社会、国家の歴史を「記憶し」「物語る」べき役割を持っているというのです。 戦争体験とは、それを体験した者にとって、忌まわしい、思い出したくない、辛く悲しい記憶でしょう。多くの友の最期を見届けながら生き延びてしまった人にとってはなおさらです。しかし、生き延びた人には、残れた使命があるのです。著者は、本書でその使命を全うしたのです。そのことに敬意を表したいと思います。 この悲惨な戦場を、秋草氏は3ヶ月にわたってつぶさに目撃しただけでなく自らも戦い傷を負いました。飢えと渇きに苦しみながら、死屍累々たる戦場をさまよいました。この追憶は、単に個人的なものではなく、民族の記憶、民族の歴史ででもあります。それに耳を傾け受け止めることは、この犠牲によって今の平和を享受している私たちの恵みであり、使命であるといえるでしょう。
日本の戦争
壮絶、オレと同じ年の人たちが、この劣悪な環境で家族を思い死んでいったのか。すこしでも粘る事が、本土を攻撃される時期を遅らせると思てたんだよな。96%は死んだってやばすぎ。戦争で犠牲になるのはまっすぐで何も知らない純粋な若者達。子供の秘密基地のように、何もない島なのに、いろいろ内地を連想させる名前をつけてるのに、なんともいえない思いがした。地名など文章がリアルすぎて、想像し辛い部分も多々あった。冥福を祈るばかり。
義務教育で副読本にすべきだ
あの戦争での硫黄島攻防戦について、 「日本軍は玉砕した」の一言で片付けてはいけないと思った。 どのような経過を辿って玉砕したのか、あるいは生き延びたのか。 まさにその場にいた者ならではの緊迫した手記で、非常に臨場感がある。 文字通り筆舌に尽くし難い阿鼻叫喚の地獄のような状況。 いや、それ以上に凄惨で過酷な状態に置かれた人々への悲しみを禁じえない。 軍隊を持つべきだとか持たざるべきだとか、 あの戦争は良かったとか悪かったとか、 そういった観念論・イデオロギー論はさておき、 まずこの本を読んで、抗い難い厳しい現実を身に沁みて知っておきたい。 このような殺し合いは「愚か」であるとしか私には思えない。 戦争は本当にくだらない、絶対悪だ。 しかし愚かであるからと言って、先の大戦で日本のために散っていった 英霊たちの死が無駄だったとは思わない。無意味だったとも思わない。 そのことについては本書の「おわりに」の最後にも、 著者の言葉として書かれているので、興味のある方は読まれたし。 (ちなみにその言はNHKで放送された特番ではオンエアされなかったとのことなので、本書にて読むしかない)
ドキュメント 屠場 (岩波新書)
・鎌田 慧
【岩波書店】
発売日:
1998-06
[ 新書 ]
参考価格: 777 円(税込)
販売価格:
777 円
(税込)
・
鎌田 慧
・
鎌田 慧
マーケットプレイス
新品価格:
777円〜
カスタマー平均評価:
4.5
屠場という職場
食卓に並ぶ肉料理、牛も豚もみな当たり前のことだが、生まれながらにしてあのような「食料」 という形をしていたわけではない。皆全て、人による労働の所産であり、そこには生命の死と いうものが不可避的に発生する。 ところが、我々の意識下では、あたかも放牧されている牛や豚が製品となった姿へダイレクト に結びついているかのような、あたかも中の見えないトンネルを通りそこから出てくるときに はあのような肉製品という異形になっているかのような感覚がある。僕らの社会には、その中 間のプロセスの部分と、そこで働く人々への視線が、決定的に欠落しているのだ。 本書は、そのタイトルがど真ん中直球で示すとおり、これまであたかも社会の「暗部」がごと く扱われてきた屠場の歴史と現状、そしてそこで働く人々の悲喜こもごもをおったドキュメン トだ。 この本が明かすのは、戦前戦後と「職業に貴賎はない」という言葉が全くの嘘八百であったこ ということ、食肉解体とそれを職業とする人々への差別意識と差別的な待遇、そしてそれと同 時に、というかそのような外からの冷遇があった故に生まれた労働者同士の連帯感である。動 物の解体にも、やはり独特の技術があるらしく、まさに「学ぶのではなく盗め」というベテラ ンから若手への業の伝承が行われる技術集団、ギルド的な集団が形成されているのである。 昨年からの世界的不況は、例外なく日本の工場労働者をも襲った。彼らにとっての決定的な痛 手は、雇用の流動化という世相の流れによって、この苦難を乗り切るための横のつながりがな いことだろう。屠場には、他の職場では失われたそのような労働者同士の横の連帯感と、自分 たちの仕事への誇りが、未だ息づいている。 屠場労働という職業を差別することはもってのほか。しかしその反対に、「僕らの代わりに汚れた 仕事を・・・」と、彼らに負い目を感じるのも、同じくらい失礼なことだろう。 この本を読んでわかるのは、彼らが彼らの仕事にプライドを持っているということなのだから。
いまだに心無い偏見の残る世界
禁句とも言われる屠場、そして差別され卑しい目で見られる屠場 でも、もし誇り高い彼らがいなければ私たちの食卓には 「おいしい肉」は並ばないと言うこと… 私は以前に屠場を見学したことがあるので そういった類の偏見は持ってはいません。 しかし、いまだなお特に西のほうで卑しい偏見の目があることは 恥ずべきことだと思います。 内容も食卓に並ぶ前の工程もきちんと記録されていますし、 現場の人の声も取り入れているのでとてもよいです。
長い間心に残る本
この本を読むまで食肉の屠場について考えたこともなかった。 何気なく読んだこの本で私は屠場にとても興味を持ち出した 何年も前に読んだ本なのに、今だこの本に書かれていることは、私の心に焼き付いている 食肉を消費する人なら誰しも知らなければいけないことなのにと 実感させられ、また屠場で誇りを持って働いている人たちに魅了された
知られざる世界
技術の進歩とはうらはらに、およそ近代的とはいえないシステムによって続けられてきた食肉処理。こうした本がもっと出ることによって差別も逆差別もなくなっていくだろうにと思う。
社会派ルポのずしりとした内容
屠場、いわゆる獣肉生産のための解体工場を著者がつぶさに取材した傑作ルポ。われわれにはまったくうかがい知ることのできない内情が詳らかにされている。屠場とそこに働く人々に対する社会的な偏見、抑圧は想像を絶するものがある。みごとな腕と技をもった職人が多数、過酷な労働条件のなかで働いているのにもかかわらず、である。われわれ消費者はこの現状を直視しなければいけない。
著者のルポは徹底的、かつ真摯で抑制が効いており、おもしろ半分の覗き見ルポとは一線を画し好感がもてる。
話し言葉で読める「西郷南洲翁遺訓」 無事は有事のごとく、有事は無事のごとく (PHP文庫)
・長尾 剛
【PHP研究所】
発売日:
2005-12-02
[ 文庫 ]
参考価格: 540 円(税込)
販売価格:
540 円
(税込)
・
長尾 剛
・
長尾 剛
マーケットプレイス
新品価格:
540円〜
カスタマー平均評価:
5
わかりやすい、内容も濃い
西郷さんは著書を残さなかった。本書は南州翁遺訓を基盤として、おそらく著者が懸命に研究し、調べ上げた西郷さんの逸話等をうまく結合したものである。文章も語りかけられているような書き方がなされており、遺訓と逸話等の結合と相まって非常にわかりやすい。西郷さんの本当に純粋で徹底した思いが直に伝わってくるようである。ただ、個人的に惜しいと思うのは原文が記載されていないところである。遺訓を直訳した本ではないので、完全なる合致は無理であるが、原文があると、更に完成された遺訓解説書となるのではないだろうか。
時を越えた、道徳の授業
「西郷隆盛って、こんな人?」というのが最初の感想です。 尊敬される西郷さん、大人物の西郷さん、親しまれる西郷さんと共に、 政治家、軍人、策略家、維新の功労者の西郷隆盛で、 「先生」のイメージが重なりませんでした。 しかし、誰が語ったのではなく、何が語られているかに目を向けると、 「は・はぁー、」と敬服しきりです。 長尾氏の筆力でしょうね、今日同時に生きていらっしゃる方から お話をうかがっているようでもあります。 ここではまさに西郷「先生」です。 漢文になるとニュアンスもことなり、原文も読んでみたいと思いますが、 私にとってはさほど拘る事ではありません。 気づきが得られ、時を越えてご指導いただいた気分です。
普遍の原理をわかりやすく
なぜ自分が打ち立てた新政府に反発して、最後に自刃した西郷さんがこれほどまでにみんなに愛されているのか、以前はよくわからなかった。しかし、いろいろな書物を読むごとに彼の愛すべき性格を知るようになり、今では私も好きな歴史人物の中の一人となっている。 その西郷さんが弟子たちに言い残した至言の数々を、後日まとめたものが「西郷南州翁遺訓」。それを口語でわかりやすく解説してくれたのが本書である。 そして、なんと驚いたことにこの本をまとめたのは薩摩藩邸焼き討ちで薩摩藩の敵であり、幕府側にあった庄内藩の人たちが明治になってまとめたというのだ。戦後、庄内藩の人たちは徳川を守って立派だったと西郷は誰一人として切腹させず、庄内藩の人たちは西郷に逆に敬愛の念を持つようになった。 そうして編まれた「西郷南州翁遺訓」。 現代にも通ずる普遍の原理である。
惜しまれます。
あの有名な西郷隆盛さんの言葉が、 現代的にリニューアルして書かれています。 素晴らしい本だと思います。 これから何回も繰り返し読むと思います。 西郷翁の残されたものが少ないということが、 実に惜しまれます。
きみも西郷どんのとりこだ。
西郷隆盛は、形あるものを自ら書き残していないそうだ。 本書は、西郷さんから口伝されたものを書き起こした「西郷南洲翁遺訓」を口語訳したもの。 いま、もし西郷隆盛が生きていたら、迷わず師事したい。 そう感じる内容でした。 明快な信念をもった人物にふさわしく、本書は 非常に分かりやすい言葉で書かれていて、内容はまじめで重いのに非常に読みやすい。 この本に書いてあることを、もう少し公共教育に取り入れるのもよいんじゃないかと 思いました。 西郷さんの人柄がよく表れていて、もっと、西郷隆盛という人について知りたくなりました。 ということで より西郷さんを知るために、つぎは原著を読んでみようと思います。
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更新日 2009年8月18日(火)
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